僕の好きな言葉に「Less is more」というのがある。
Less is more とは、言葉のとおり『より少なきは、より多きこと』という意味だ。この言葉のその深い意味を知ったとき、僕の心は大きく揺さぶられた。なぜ「Less is more」なのか? これは、人が周囲に支配されず本質を高めるための『最強理論』でもある。
例えば、雑多な仕事を減らしていけば、より多くの仕事をこなすことができる。満員電車での通勤など不自由な移動時間を減らしていけば、より多くの自由な時間を持つことができる。
この最強理論は、僕たちが「生きる意味」や「仕事の本質」を考えるうえで大いに役に立つ。
ただ、実際は「少ないモノで豊かに暮らす」の意味で解釈している人が多いようだ。もちろん間違いではないのだけれど、それは「Less is more」という最強理論を1つのモノサシでしか見られていないので、それではもったいない。
そこで、この記事では「Less is more = より少なきは、より多きこと」という最強理論を、じっくり解説したい。これを読んでくれた人が、僕と同じように「Less is more」の考え方を好きになってくれれば嬉しいなと思う。
一流は Less is more を熟知している
なぜ、一流はあんなにも『一流』でいられるのだろうか? その理由をシンプルに突き詰めて考えていくと、実は、あるひとつのことが「共通点」として浮かび上がってくる。
具体例を挙げた方が分かりやすいと思うので、早速みていこう。
例1.イチロー選手
イチロー選手は、ご本人で「Less is more」の言葉を使っておられるわけではない。ただし、僕たちがその生き様や言動を見て1番に感じることは「野球ひとすじ」ということだろう。
いろんなことを犠牲にして、そこに至っているのは、自分を野球に捧げてきたからです。
これが、イチロー選手ご本人の言葉である。
例2.Google
Google 検索のホーム画面には、検索ボックス以外は何もない。シンプルに1つの機能のみに絞り込まれている分、その機能が際立ち、また、周りを寄せ付けない圧倒的パフォーマンスを提供することにも成功している。だからこそ、たくさんのユーザーが集まる。
これは、Less is more 以外の何ものでもない。
Less is more を日常に取り入れる方法
こういった Less is more の考え方は、様々な場面に応用することができる。
例えば、デザインの業界では、よりシンプルで「洗練された良いデザイン」を作るために、「Less is more」の考え方が欠かせない。良いデザインは「無駄」が一切なく、使いやすくてエレガントな仕上がりになるのだ。
実は、はじめに「Less is more」をモットーとして使い始めたのも、シンプルなデザイン性を大事にした「ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ」という20世紀の有名な建築家である(彼の成功を理由に、建築物や家具以外にも「Less is more」が使われ始める)。
では、一般の人はどうだろう? 一般の人という言い方は良くないかも知れないが、イチロー選手のようなアスリートでもなければ、建築家やデザイナーのようにモノづくりをする人でもない場合、どのように「Less is more」の考え方を取り入れれば良いだろうか。
実は、驚くほどたくさんの方法で取り入れられるので、実際にいくつか紹介したい。
1.無駄なインプットを減らす
あなたは、1日に何時間テレビを見ているだろう? スマホは? インターネットは?
人や年代によって「どのメディア」に多くの時間を費やすかは様々だと思うけど、天気予報や占い、ニュースや動画など『無駄な情報のインプット』をなるべく減らすようにしてみよう。
僕は、テレビを見ないことと、スマホを持たない生活 を実践している。というより、どちらも持っていない。また、Twitter など SNS を見すぎないようにも気をつけている。自分が欲しい情報だけを手に入れられるよう、あらかじめ表示内容を絞り込む設定などもしている。
ニュースに関しては Google カスタムニュース を活用しているし、ブログは Feedly を使って気になるブログを横断的に購読している。タグを付けてブログの種類をカテゴリ分類することもできるので、自分のブログのための『ネタ探し』にもピッタリである。
つまり、無駄なインプットは減らし、信頼できる情報源からのインプットは増やす努力をしているのだ。これは本当に簡単にできるので、たくさんの人におすすめしたい。
2.不自由な移動時間を減らす
満員電車に乗っての通勤中は「ゆっくりと何かをする」ことができない。
ただ立っていることしかできない、何とも不自由な時間である。こういった不自由な時間は、1日全体を見たときの「生産性」をその分だけ下げることになる。
これを解決するには、通勤しやすい場所に引っ越すとか、在宅勤務を申請するとか、あるいは通勤ラッシュの時間を避けて通勤するようにするとか、何かしら工夫することが必要になる。それで自由な時間を増やすことができれば、代わりに多くの得られるものがあるはずだ。
下の記事では、通勤時間の長さが睡眠時間に大きく影響することも書かれている。
ちなみに、僕はもう2年以上「在宅ワーク」なので通勤の必要がない。不自由な時間が減り、のびのびできているのは、会社を辞めて良かったと思う理由のひとつである。
3.雑多な仕事を減らす
僕たちにとっての「仕事」は何だろうか? 人それぞれ違う職業についているものの、ここで再び、イチロー選手や Google を思い出してみて欲しい。また、何の仕事に集中すべきかを。
会社で働いている人の場合は、部長や役員クラスになると「収益を生まない事業」を減らし、「コアとなる事業」にコストを注ぐよう決断しなければならない。結果として、それが会社の将来を左右していく。もちろん、社員全員がこの考え方で働けていればもっと良い。
僕たちのようなフリーランスも同じで、雑用はなるべく減らすよう努力しなければならない。
家事についても同じことが言える。家事の全体量を減らすとQOLが改善した話は、以前にも紹介したとおりだ。雑用に本気になり過ぎてしまうのは、実にもったいない。
とにかく、雑多な仕事を少し減らせると1年後の状況が大きく変わる。これは職業に関係なく言えることではないだろうか? ぜひ「より少なきは、より多きこと」を意識してみよう。
4.モノを減らす
モノを減らすと「より豊かな暮らしの環境」を作ることができる。これもひとつの方法だが、当ブログ読者のミニマリストの方なら、基本として既に実践されていることだろう。
家庭環境だけでなく、勉強環境や仕事環境でも同じである。
ただし、ただ単純に「モノを減らすだけで良い」と考えている人は、シンプルライフで満足をしている人かもしれない。本物のミニマリストは、暮らしの環境以外にも目を向けて「Less is more」の理論を『より多くの場面』で応用しているはずだからだ。
モノを減らすことは、この最強理論を実践するための「ひとつの方法」に過ぎないのだ。
5.固定経費を減らす
ここからは解説を省略しながら、「Less is more」を実践する方法だけを簡単に挙げていく。
この「固定経費を減らす」こともひとつ。会社の予算でも家計でも基本は同じで、固定経費を減らすとキャッシュフローが増える。管理項目が減るので、少しだが時間も増えるだろう。
6.決断の回数を減らす
これは以前にも別の記事で説明したことがある。詳しくは以下を参考。
7.心配事や悩みを減らす
この「心配事や悩みを減らす」というのは、物理的に減らす方法に限らず、心の持ち方次第で減らしてしまう方法も含んでいる。結果的に、より大事なことに集中しやすくなるだろう。
8.ゴミを減らす
この「ゴミを減らす」ことも、Less is more だ。ゴミが減れば、ゴミ袋を取り替える回数や、ゴミを外に出しに行く回数、ゴミ収集車の出動回数が減ることになり、自分だけでなく周りの人や環境にまで良い影響を与えることができる。
9.病気や怪我を減らす
この「病気や怪我を減らす」ことは、「健康で元気に活動できる時間」を増やすことになり、Less is more の考え方を説明するのにも分かりやすい。やっぱり軽い運動や予防は大事。
ちなみに、この筋トレメニューをまだ試していない人は、ぜひどうぞ。うちの妻はドMなので喜んで継続しているよ。
補足:Less is more, more is less.
大手スーパーマーケットには、たくさんの商品が並んでいる。これはどう説明すれば良いか?
Less is more は more is less と言い換えることができて、要するにメリット・デメリットは表裏一体となっていると考えてみると良いかもしれない。
つまり、大手スーパーマーケットの場合は「品揃えを多くする」ことにより、客の「不満」を減らしているのだ。あれもこれも欲しい時間のない人にとっては凄く便利になる。
だけど対照的に、高級感や品質の良さをウリにすることはしづらくなる。いわゆる「専門店」のウリと比較すると分かりやすいだろう。
面白いのは、ちょっと見方を変えると「大手スーパーマーケット」も「専門店」も、両方を Less is more の最強理論に当てはめて考えられることだ。
結局、全ての物事は「何を『強み』として選択して集中するか」に掛かっている。そのことを考えるときには、何を「より少なく」し、何を「より多く」するかという『ふたつの視点』を同時に持てると良いだろう。そうすれば、ブレることなく能力を発揮できるはず。
今回の記事のまとめ
今回は僕の好きな言葉のひとつ「Less is more」について、なぜこれが最強理論と思うのかを紹介した。また、アスリートやデザイナーだけでなく、どんな人でも日常に取り入れることができるという例を全部で9つ紹介した。でも、正直まだまだたくさんあるはずだ。
もしこれ以上書くと、文字数が5000文字を突破しちゃうのと、さすがに書いててちょっと疲れてきたので、もう読者も十分に分かってくれるだろうと思ってやめにした。
ただ僕はこの記事を書いていて、毎日のことをより深く考えるようになった。考えれば考えるほど、何もかもが「Less is more」の一言で説明できてしまうのではないかと思えてくるのである。もしかしたら、ニュートン力学のような法則が実際に働いているのかもしれない (笑)
いずれにしても、この記事を読んで「Less is more」を好きになってくれる人がいて、人生のヒントか何かにでもなってくれれば嬉しいなと思う。
以上、さとり世代のミニマムライフでした。